二項分布、幾何分布、負の二項分布の平均と分散

投稿者: | 2020年5月5日
Binomial distribution

大学の授業で統計の授業を取ったのですが、統計をやったのが2年前で忘れていました。そのため、色々調べながら二項分布、幾何分布、負の二項分布の平均と分散について解いてみました。

1.確率変数の平均と分散

確率変数には連続型と離散型があります。今回の二項分布の場合は離散型です。

よく問題に”平均を求めよ”と書かれていますが、これは高校までで習う確率の期待値と同じになります。

これは次のように計算できます。

分散は、一般に二乗期待値と期待値の二乗に等しくなります。つまり、次のように計算できます。

2.組み合わせの表し方

高校までは組み合わせをと表します。しかし、統計を調べていると次のように表すことが多いようです。

あまり馴染みのない表し方なので、私はCombinationを使って書いていきます。

また、Combinationの計算は、

です。

3.二項定理

任意のに対して、

が成立します。これも高校数学で習う範囲です。

4.二項分布の平均と分散

この場合の平均と分散を求めていきます。

平均

ここでは、離散型確率変数のときの平均の求め方に則って計算しています。また、3行目ではの時0となるので、それを省いてます。

ここで

なので、(1)式は次のように変形できます。

ここでと置くと、

となるので、(2)式に代入すると、

 

となります。

分散

分散は次の式で求められます。

まず、(3)式よりであることがわかっています。

次にを求めます。

 

(4)式の前半の和を、後半の和をとします。

先にを求めます。

ここで、とすると、

さらにBを求めます。とおくと、

以上より、

と求まります。

5.幾何分布

これの平均と分散を求めていきます。二項分布より計算が楽です。

平均

2行目から3行目はマクローリン展開((5)式を参照)や等比×等差の和を求める方法などで出すことができます。

分散

で求まるので、だけ求めます。

ここで、をマクローリン展開すると、

となります。この両辺をで微分すると、

 

更に両辺をで微分して、

この式の両辺にを掛けたものを利用すると、

となります。ここで、期待値の線形性により、

が成立するので、

となります。

6.負の二項分布

これの平均と分散を求めます。モーメントを利用した導出などもありますが、全くわからなかったので、もっとわかりやすい導出だけ書いていきます。(参考:モーメントを利用した導出)

平均

ここでとすると、

となる。3行目から4行目では、確率の総和が1であることを利用しています。ぶっちゃけ式を見ても微妙にわかりずらいので、こちらを参考にして下さい。(負の二項分布)

分散

で計算できるので、を求めていきます。

上式の前半の和を、後半の和をとすると、は平均と同じなので、だけ求めればいいです。

ここでとおくと、

ここで、

であるので、

となります。

したがって、

となります。

7.おわりに

あと課題は3つあるので、また調べながら解いたら書きます。LaTeXの練習にもなりますし、これを書いている時に論理ミスしてた箇所とか見つけたので、いい復習になります。

ぶっちゃけ確率質量関数の和がよくわかってないんですが・・・。

8.参考文献

神戸大学理学部数学科 樋口研究室 数理統計学10月26日講義

AVILEN AI Trend 二項分布の期待値・分散の導出(証明)

同志社大学経済学部経済学科 宮澤和俊 2項分布の平均と分散

理数アラカルト 二項定理

AVILEN AI Trend 幾何分布の確率密度関数からの期待値と分散の導出

金沢工業大学 マクローリン展開

高校数学の美しい物語 等比×等差の和を求める2通りの方法

AVILEN AI Trend 期待値の定義・性質・計算例。平均との違いも!

理数アラカルト 負の二項分布の期待値の求め方

負の二項分布 緑川章一

理数アラカルト 負の二項分布の分散の求め方

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