紀州鉄道と廃線跡

投稿者: | 2018年9月14日

和歌山に行ってきました。JR紀勢本線に揺られるがままに、着いたら御坊駅。ちなみに下調べとか一切していません。今回の旅行の目的は「海行きたいな」なので、海に行ければそれでいいという考えで動いていました。

さて、御坊駅に着きまして、海岸まで行くには西御坊まで行かなきゃいけないらしい。そして、御坊駅から西御坊駅まで行くには、私鉄の”紀州鉄道”とやらに乗らなきゃいけないらしい。・・・紀州鉄道?聞いたことないですね・・・。ただ、こういう場所でよく知らない私鉄に出くわすとワクワクします。

御坊駅の紀州鉄道ホーム。「0番線とか熊本駅みたいだ」って思いました。

乗る前に紀州鉄道について調べてみると、次の通りのことがわかりました。


紀州鉄道線(きしゅうてつどうせん)は、和歌山県御坊市にある御坊駅から西御坊駅までを結ぶ紀州鉄道鉄道路線である。
有田鉄道の廃止後、和歌山県で唯一の全線非電化路線となっている(他の非電化区間は紀勢本線新宮駅以東のみ)


路線距離(営業キロ):2.7km
軌間:1067mm
駅数:5駅(起終点駅含む)
複線区間:なし(全線単線)
電化区間:なし(全線非電化
閉塞方式:スタフ閉塞式

wikipedia

営業距離を見ても分かる通り、すごく短いです。どうやら(西)日本で一番短い私鉄らしいです。・・・(西)と書いたのは、鉄道と言っても様々な物があるらしく、鉄道はケーブルーカーなども含むらしいです。なので、紀州鉄道を正確に表すならば、”普通鉄道の中で 他社との相互直通運転がなされていない自己完結路線(ローカル線) において日本一営業距離が短い”鉄道となります。

紀州鉄道乗車

とりあえず西御坊駅まで行くから乗車・・・しようとしたら、台風の影響で遮断器が壊れてしまい、現在御坊~紀伊御坊間のみ運転しているらしい。台風の爪痕がこんなところにも・・・。

時刻表とお知らせ。思った以上に本数出ていてびっくり。

とりあえず紀州鉄道に乗って紀伊御坊駅まで行くことに。車内はキレイ。というより、これ内装はバスじゃね・・・?と思うほどバスっぽい(車両がレールバスなので当然といえば当然)。窓にはブラインドではなくてカーテンが。その他お手製のマップとか色々。すごく地域密着な鉄道だなあと思いました。

車内。車両は古いけど中は綺麗。

廃線跡発見

さて、ゴトゴト揺られて紀伊御坊駅到着。ここから寄り道しながら海を目指したわけですが、海岸目前にして廃線跡らしきものを発見。

民家の間に廃線跡。こういうの見ると追っかけたくなりますよね。

廃線跡らしきものを見つけた私と友人は「これ西御坊までつながってるんじゃね!?」と思い、廃線跡を辿ることに。確かに西御坊駅方面に廃線が続いてる。しかし、西御坊駅に着くと、そこには更にもう一本廃線跡が。どういうこっちゃ。

廃線跡を辿ると、写真の左側から西御坊駅に着きます。しかし、左側に曲がる線路跡はない。

西御坊駅からまっすぐ伸びるように廃線跡が。さっきの廃線跡に繋がっていたとは思えない。

廃線跡追跡

廃線跡をさらに見つけたことで私達は大興奮。海を見に行くという目的はどこへやら、廃線を辿ることにしました。しかし、大分昔に廃線になったようで民家の裏手とか紀州鉄道管理地など私有地が多いので、道路から眺めるて伸びてる方向に道路を伝って行くという感じで追っていきました。

廃線跡を追っていくと、撤去されなかった遮断器、遮断器があったらしきコンクリートの土台、昔鉄道が通ってたことを示す標識など色々見つかりました。

そのまま歩いていくと、どうやら昔駅があった、それも終着駅であったような場所が現れました。西御坊駅からまっすぐ伸びていた廃線はここに繋がっていたらしい。

しかし、ここまで来ても、私達が最初に見つけた廃線と、今までたどってきた廃線がなんなのか・・・いや廃線なのはわかっているんだけど、この2つの廃線がどのように使われていたのかわからない・・・。

廃線跡の答え合わせ

流石に「用途不明」で終わらせるのはいい加減すぎる。このご時世ネットという素晴らしいものとがあるので、京都へ戻る電車の中でサクッと答え合わせをすることに。

まず、私達が最初に見つけた廃線は、“大和紡績和歌山工場専用線 “。昔、あのあたりに大和紡績工場があり、そこへ専用線が繋がっていたらしい。しかし色々な事情で廃線。 この路線は昭和30年6月15日開通、昭和59年6月26日廃線。29年使用された後廃線になったようです。

このような「昔工場の専用線だった廃線」ってとてもおもしろいと思います。都内だと王子神谷降りてちょっと歩くと、 北王子線の跡地があります。こちらは2014年まで使われていたらしいので、使われていたところを見たかった・・・。

話を戻しまして、西御坊駅から真っ直ぐ伸びていた廃線は、 御坊駅~ 日高川駅 を結ぶ、紀州鉄道が元々運行していた路線でした。 しかし、平成元年4月1日廃止。それ以降、紀州鉄道は御坊駅~西御坊駅を運行する路線となりました。

そもそも紀州鉄道って?

紀州鉄道に乗って思ったことは、言葉は悪いですが、「これいつ潰れてもおかしくないほどに人が乗ってないな」ということです。地方ローカル線は少子高齢化や人口減少によって廃線になったりしています。私が住んでいた地域ですと、 北陸鉄道石川線の鶴来駅~加賀一の宮駅間が廃線になったりしています。でも、紀州鉄道は紀伊御坊駅は結構立派だし、車両自体も古いながら綺麗にされているし、社員12人内運転手5人(紀伊御坊駅の地元の小学生が作ったポスターに書いてあった) らしい。ついでに公式HP見てもらうと、「いやこれ地方ローカル線のHPじゃないでしょ!!」っていうぐらいのデザイン。どういうことだ?

ということでまたネットで検索していきましょう。

まず、「紀州鉄道」で検索すると出てくるのが、”紀州鉄道株式会社”。説明は、


東京都中央区にある紀州鉄道株式会社。鉄道事業、ホテル事業、スポーツ・保養施設の経営など多岐にわたる事業を展開しております。

紀州鉄道株式会社
紀州関係ないじゃん!!

なぜこの様になったのか。もともと紀州鉄道線自体は 御坊臨港鉄道が建設しました。しかし 経営不振の上に天災で廃止の危機。その時現れたあしながおじさん、” 磐梯電鉄不動産 “。

磐梯電鉄不動産

かつて福島県耶麻郡猪苗代街の川桁駅と沼尻駅を結んでいた磐梯急行電鉄の旧経営陣が設立した会社。
1979年には不動産・リゾート開発を営む鶴屋産業の傘下に入り、現在に至るまでリゾート開発を軸とする不動産業を主力部門としており、鉄道事業収益の割合は微少で実態は不動産会社となっている。

wikipedia

磐梯電鉄不動産は御坊臨港鉄道を約1億円で買収。理由は「”鉄道会社が運営している不動産会社”としての信用とネームバリューが欲しかった」ため。東武鉄道の不動産部門みたいな感じで、会社の主力部門である不動産部門に泊がつく。それを1億円で手に入れれるなら確かに安い買い物です。

ちなみに紀州鉄道の営業係数は367.8(2010年)。大赤字ですが廃止の予定はないらしい。なぜならこの鉄道路線の名前で不動産部門の価値を高めているから。知らない人が「紀州鉄道の不動産部門」って聞いたら、「紀州全域に鉄道網を持つ私鉄の不動産部門かな?」って思ってしまう・・・気がする。なんとよく考えられた買収と名称変更か。

じゃあ鉄道部門はおざなりかというとそうでもなく、紀伊御坊駅ではグッズ販売を行っていたり、列車のヘッドマークは紀州鉄道のオリキャラが描かれたものだったり、また地元小学生に枕木交換体験させたりと、色々やっています。また、先程廃線になったと書いた、日高川駅跡地を公園にするという話もあるそうで、跡地も有効活用していくみたいです。

最後に

今回は残念ながら紀伊御坊駅~西御坊駅間を乗ることはできませんでした。今度紀伊半島一周列車旅をするときに、時間があれば乗りたいなと思います。

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